2008年04月12日
阪急電車
”阪急電車”という小説が最近のお気に入りです。
これは阪急今津線の各駅で繰り広げられる出会いの小説です。
阪急今津線というのは、私が今すんでいる町と以前すんでいた町をまたがって走るローカル線です。
始発駅から終点の駅まで15分かそこらで着くような短い距離で、
ほとんど通勤通学などで住民の足代わりの線です。
沿線にある有名なものといえば、門戸厄神さん、仁川の競馬場、宝塚歌劇というくらいです。
でもこの今津線はとても心がなごむのです。はじめてこの沿線に住み乗り始めたときからお気に入りの
路線になりました。沿線沿いには名所というより身近で素敵なものがいっぱいあります。
桜並木、春にはみごとな桜のアーチの中を電車が走りぬけて行きます。
仁川の弁天池に浮かぶ浮見堂。まあるい形の甲山、鯨の形の教会。
どれもこれも私の大切な景色です。
でも今津線は景色だけではなく他の阪急線とは違う独特の雰囲気があります。
沿線に学校が多いせいかもしれませんが、ほんわかした人が多く乗っています。
決して空き空きの電車ではありません。結構乗車される方は多いのです。
でも混んでる時でもぎすぎすした空気はあまりありません。
そんな今津線が小説になったと知り本屋さんに走りました。
表紙もcuteな本でした。
中には”知ってる知ってるこの場所”という箇所がたくさんありました。
この小説のいいところは今津線に乗ったことがない人もぐいぐい引き込まれていく魅力があります。
それはこの小説には何人かの老若男女が入れ替わり立ち代りでてきます。
その彼らが知らない間にお互いに影響しあっていく展開がとても自然に行われのです。
そしてそれぞれにささやかなHappy end が用意されているのです。
読み終わったとき悲しくもないのに涙がこぼれそうになりました。
とても純粋なものが心に残されたような・・・
私の母もこの小説を読んで”よかったわ、それから電車の中で無作法な人に注意するときは
こんな風に言えばいいのね”と不思議な感想を言ってました。
人それぞれいろんな読み方があるもんだなと思いました。
地震でいまの町に引越しをしてからは今津線に乗ることは少なくなりましたが
今でも宝塚から乗る時は、わくわくします。
そして西宮北口に着くまで窓から見える景色にみとれています。
私のホームタウンとも言える思い出いっぱいの今津線です。